シーン1 ●フラット託宣を受ける● 

 

ある日、フラットが笛の練習をしていると青い鳥がやって来て耳を傾けているのに気づいた。オラティオだった。フラットが気がついたのを知ると鳥は神殿裏の禁足地の方へと飛び立つ。時々木の枝にとまり、振り返ってフラットが追ってきているか確かめるような素振りが見える。フラットは追いかけた。禁足地の奥の泉でオラティオは待っていた。オラティオが一声鳴くと、泉から霧が湧きたつ。霧の中に泡球が浮かんでいる。泡球の中に人の像が映っていた。ひとりは恐竜族の戦士、もうひとりはミワーナの魔法学園の生徒だった。そして、もうひとりは…カエル? カエル人間だった。巡礼の中に恐竜族やドワーフ、エルフなどが居るのを見たり、人に馴れるモンスターをペットで連れているのを見たことはあるが、カエル人間は初めて見た。気がつくとオラティオは飛び去っていた。霧もはれ、泡球も消えてしまう。フラットは神殿へと取って帰り、大巫女に報告した。大巫女は神官長に伝える。神官長は祭壇に祈り、しばらくして振り返って言った。「泡球の中に見えたモノを詳しく思い出すのじゃ」と。三人は何者かに追われていたような気がする…とフラットは答えた。魔法学園の生徒の背後には稲妻を手から発射する兵士のような影や絵で見たゴブリンのような影があったような…。恐竜族の戦士はその影と戦っているように見えた。「どうやらザラドス帝国が動き出すようじゃ。そのことをデンドロギガス様が託宣なされた。」と神官長はつぶやくように言った。「その泡球の中に見えた三人はデンドロギガス様に選ばれた勇者であろう。そしてお前もな…。」と。 

 

次回予告▼シーン2「帝国、ミワーナを襲う」 

story board:辻野寅次郎